■ シカゴ・カブスの2017年シーズン戦力分析の目次
1. 2016年シーズンの主要な成績の一覧
103勝58敗で地区優勝を果たし、ワールドシリーズ制覇を成し遂げたシカゴ・カブスの2016年シーズンの、打撃、守備、投手の主要な成績の一覧です。
攻撃 | スタッツ(リーグ順位) |
---|---|
得点 | 808(2位) |
打率 | .256(6位) |
出塁率 | .343(1位) |
長打率 | .429(4位) |
OPS | .772(2位) |
本塁打 | 199(5位) |
盗塁 | 66(11位) |
盗塁成功率 | 66%%(12位) |
攻撃面では、打撃に優れた選手がラインナップに並び、得点力は両リーグ屈指となっています。以前は出塁率の低さが課題だったのですが、若いコアとなる選手たちの熟成が進み、チームとしても洗練されてきています。
守備 | スタッツ(リーグ順位) |
---|---|
UZR | 73.0(1位) |
DRS | 82(1位) |
攻撃面に優れるシカゴ・カブスですが、野手は打撃に偏ることなく守備に優れる選手が揃っています。そのためアルティメット・ゾーン・レイティング(UZR)と守備防御点(DRS)ともにナ・リーグトップの数字を残しています。
投手 | スタッツ(リーグ順位) |
---|---|
防御率 | 3.15(1位) |
先発防御率 | 2.91(11位) |
ブルペン防御率 | 3.56(4位) |
セーブ数 | 38(10位) |
セーブ成功率 | 71.70%(4位) |
先発投手はジョン・レスター、ジェイク・アリエッタ、カイル・ヘンドリクス、ジョン・ラッキー、ジェイソン・ハメルと揃う5番手までしっかりとする編成で、リーグ1位の防御率となりました。
不安を挙げるとすればブルペンだったのですが、アロルディス・チャップマンを獲得することで、その問題も解消し、ワールドシリーズ制覇へとつながりました。
2. 2016-17シーズンオフの戦力補強動向
2016-17シーズンオフの戦力補強動向の一覧は以下のとおりとなっています。
獲得/流出 | 選手名(ポジション) |
---|---|
流出 | アロルディス・チャップマン(CL) |
流出 | デクスター・ファウラー(CF) |
流出 | トラビス・ウッド(RP) |
流出 | ジェイソン・ハメル(SP) |
流出 | ホルヘ・ソレア(OF) |
流出 | トレバー・ケーヒル(RP) |
引退 | デビッド・ロス(C) |
獲得 | 上原浩治(SET) |
獲得 | ジョン・ジェイ(CF) |
獲得 | ウェイド・デービス(CLO) |
獲得 | カレブ・スミス(RP) |
獲得 | エディー・バトラー(RP) |
獲得 | ブレット・アンダーソン(SP) |
クローザーのアロルディス・チャップマンをFAで失ったのですが、 有望株として高い評価を得ながらもポジションがなかったホルヘ・ソレアを交換要員としてウェイド・デ-ビスを獲得しました。
ブルペンもトラビス・ウッド、トレバー・ケーヒルらを失ったのですが、上原浩治を獲得することで補強をし、先発ローテに関してはジェイソン・ハメルのチームオプションを行使せず、FAとなっていたブレット・アンダーソンと契約しています。
野手ではセンターのデクスター・ファウラーをFAで失ったのですが、大きな補強には動かずジョン・ジェイを獲得することで穴埋めしています。
3. 2017シーズン開幕時のロースター編成の予想
シカゴ・カブスの2017年シーズン開幕時に予想される先発スターティングメンバー、ベンチ要員、先発ローテーション、ブルペンの編成などは以下のとおりとなっています。
【先発スターティングメンバー】
- カイル・シュワーバー(LF)
- クリス・ブライアント(3B)
- アンソニー・リゾ(1B)
- ベン・ゾブリスト(2B)
- アディソン・ラッセル(SS)
- ジェイソン・ヘイワード(RF)
- ウィルソン・コントレラス(C)
- ジョン・ジェイ(CF)
- 投手
【ベンチ要員】
- ミゲル・モンテロ(C)
- ハビアー・バエズ(IF/OF)
- トミー・ラステラ(IF)or マット・シーザー(OF)
- アルバート・アルモーラ・ジュニア(OF)
1番を務めていたデクスター・ファウラーの後には、ジョン・ジェイが入るかと思われましたが、足の速くないカイル・シュワーバーを据えるラインナップが有力になっています。
ただ、ジョー・マドン監督のため守備も打順も臨機応変に変えてくることが確実なため、状態次第ではジョン・ジェイ、ジェイソン・ヘイワード、ベン・ゾブリストなどに1番を打たせることもありそうです。
センターに関してはジョン・ジェイが左打ちで、アルバート・アルモーラ・ジュニアが右打ちのため、併用される可能性が高くなっています。守備面ではアルモーラはファウラー以上ですが、打率.276/出塁率.393/長打率.447/OPS.840という成績を埋めるのは容易ではありません。
しかし、カイル・シュワーバーが開幕から戦力になってくれれば、ファウラーの穴を十分に埋めることはできそうです。
ベンチ要員もしっかりと固まっていて、メジャー昇格を控える内野のプロスペクトもいるため、川崎宗則がメジャー昇格のチャンスを与えられるのは、かなり限定的となりそうです。
【先発ローテーション】
- ジョン・レスター(左)
- ジェイク・アリエッタ(右)
- カイル・ヘンドリックス(右)
- ジョン・ラッキー(右)
- ブレット・アンダーソン(左)
【ブルペン】
- CLO:ウェイド・デービス(右)
- SET:ヘクター・ロンドン(右)
- SET:上原浩治(右)
- RP1:カール・エドワーズ Jr.(右)
- RP2:ペドロ・ストロップ(右)
- RP3:ジャスティン・グリム(右)
- RP4:ブライアン・ダンシング(左)
- RP4:マイク・モンゴメリー(左)
ジェイソン・ハメルが抜けた後の先発5番手にはブレット・アンダーソンが入ることになります。ただ、状態が悪ければロングリリーフを務める予定のマイク・モンゴメリーと入れ替わる可能性も十分にあります。
クローザーはウェイド・デービス、セットアップをヘクター・ロンドン、上原浩治が務め、勝ち試合を締めくくっていくことになることが濃厚です。ただ、ウェイド・デービスは肘に不安を抱えていて、2016年には平均球速が2マイルほど低下しているため、イマイチなパフォーマンスであればヘクター・ロンドンが代役を務めることになる見込みです。
4. 寸評・評価
すでに若い優秀な選手たちがメジャー昇格を果たし、マイナーでの評価に違わぬ活躍を見せているシカゴ・カブスです。これだけ優秀な選手がメジャー昇格し、アロルディス・チャップマンのトレードでグレイバー・トーレスといったMLBトップクラスのプロスペクトを放出しても、次の波が控えているシカゴ・カブスです。
2017年開幕前のプロスペクトランキングではカブスから5名の選手がトップ100にランクインされていて、外野手のエロイ・ヒメネスがMLB全体で13位、二塁と外野を守れるイアン・ハップが28位、アルバート・アルモーラが75位、投手のディラン・シーズが77位、一塁と三塁を守るジェイマー・カンデラリオが96位となっています。
このうちイアン・ハップは2017年開幕時は2A、ジェイマー・カンデラリオは3Aとなる見込みで、2017年中にメジャーレベルの戦力になってくる可能性もあります。
セオ・エプスタイン社長とジェド・ホイヤーGMは、これからはより継続的な成功を重視していくため、昨シーズンのようにトップクラスのプロスペクトを放出する補強は行わない方針だと話しています。
ただ、必要であればトレードの交換要員にできるプロスペクトを抱え、年俸総額も1億7600万ドル程度にとどまっているため補強資金の余裕もあります。
死角は極めて少ないため、多くのメディアやオッズメーカーも再び100勝に到達することを予想するなど、地区優勝の可能性は高く、後は短期決戦で波に乗れるかどうかがワールドシリーズ連覇へのポイントになりそうです。