ジャコビー・エルズベリー低迷の原因は?「捕手による打撃妨害」の多さが示す問題点

New York Yankees Top Catch

ヤンキースは2013年シーズンオフに田中将大、カルロス・ベルトラン、ブライアン・マッキャンらの大型補強を敢行しました。

その中で最大の契約を手にしたのは田中将大の7年1億5500万ドルで、ここにポスティング費用の2000万ドルを支払っていますので、1億7500万ドルをヤンキースは投資したことになります。

その田中将大には金額面で劣るものの、契約の最終年が36歳となることを考えれば、ジャコビー・エルズベリーの7年1億5300万ドルはかなり大胆な投資でした。

そのジャコビー・エルズベリーの評価は2013年の134試合で打率.298/出塁率.355/長打率.426/OPS.781、本塁打9、打点53、盗塁52という成績以上に、2011年のパフォーマンスを繰り返すことを期待してのものでした。

その2013年のジャコビー・エルズベリーは158試合で打率.321/出塁率.376/長打率.552/OPS.928、本塁打32、打点105、盗塁39という打撃成績で、ゴールドグラブ賞も獲得するなど、これまでのキャリアでのベストの結果を残しました。

ヤンキースの大型投資には2011年並みのパフォーマンスへの期待が含まれていたのですが、移籍後3年間のエルズベリーの成績は打率.264/出塁率.326/長打率.382/OPS.708と低迷し、2016年には盗塁数も20個まで減り、さらに成功率も71.4%まで落ち込みました。

リードオフマンとしても、2番打者としても物足りない出塁率に終わった3シーズンなのですが、エルズベリーは2016年に珍しい記録を更新しました。

ジャコビー・エルズベリーは2016年の1シーズンだけで捕手のミットにバットが当たる打撃妨害により12回も出塁し、これまでの記録だったロバート・ケリーの8回を大幅に更新しています。

ジャコビー・エルズベリーのミートポイントが通常の選手よりも打者側にあるがゆえの現象で、手元でボールを捉えることができること、ギリギリまで見極められることができることが、ボストン在籍時の通算打率.297、通算出塁率.350につながっていました。

このような打撃スタイルは昔からのため、捕手のミットによる打撃妨害の多さはボストン時代から見られた現象のようです。

MLB公式サイトのBryan Hoch氏がEliminating catcher’s interferences could be key for Ellsburyの記事で以下のように伝えています。

Catcher’s interferences were part of Ellsbury’s game in Boston as well — he has 26 since 2007, the most by any Major Leaguer since Pete Rose (29)

ボストン時代から捕手の打撃妨害による出塁が多かったこともあり、2007年のメジャー昇格以降の回数は26回に達していて、史上最多のピート・ローズの29回に迫っています。

このピート・ローズの29回は3562試合15890打席での記録なのですが、エルズベリーの26回は1123試合4966打席でのもので異常といえるほどのペースで、1シーズン12回というのは異例の数字です。

この打撃妨害の多さが、ジャコビー・エルズベリーの打撃の問題点を露呈している可能性があるとヤンキースの打撃コーチであるアラン・コックレルは指摘します。

以下は同じBryan Hoch氏の記事からの引用です。

“For me, the biggest thing with Jacoby is moving his contact out front a little bit more,” Cockrell said. “I’ve never seen a guy hit the catcher’s mitt like he did. I think when Ells’ contact point was maybe three, four more inches more out front from where it is right now, he can stay on balls.
(中略)
“We looked at all the video from his really big year in Boston, and his contact point was probably three or four inches more,” Cockrell said.

内容をまとめるとレッドソックス在籍時に好調だったシーズンのビデオなどを見て比較するとミートポイント(コンタクトポイント)が3-4インチほど、現在よりも投手側にあったと考えられるようです。

元々、ミートポイントが打者側にあり手元までボールを引き寄せる打撃スタイルのため、結果としてレッドソックス時代から捕手のミットと接触することが多かったのですが、2016年には打者の手元側に3インチ(7.6cm)から4インチ(10.2cm)程度移動してしまい打撃妨害が異常な多さになるほどということです。

これだけ打撃妨害が多いということは必要以上に手元にひきつけてしまっていて、結果としてボールに差し込まれることも多くなり、打撃成績も低迷してしまっているのではないかとアラン・コックレルは考えていて、ミートポイントを打者側から投手側に少し前に出すことをエルズベリーとともに取り組んでいるようです。

この取組は2016年シーズン中から初めていたのですが、まだ大きな成果を挙げるには至っていないものの、これを継続することで状況が改善できるのではないかとの見通しをアラン・コックレル打撃コーチは持っています。

ただ、問題はエルズベリーがレッドソックス在籍時に2011年以外は素晴らしい成績をシーズンを通じて残したことはなく、本塁打が二桁にのったことはありませんでした。

これまでのキャリアベストの本塁打は2011年の32本塁打ですが、それに続くのが2014年の16本塁打、2008年、2013年、2016年の9本塁打です。

元々ジャコビー・エルズベリーを過大評価してしまっていた可能性も十分にあると考えられるため、今取り組んでいることがどれだけの成果を生み出すかは不透明です。

それでもヤンキースにとっては小さくない4年9000万ドルの契約が残っていますので、この取り組みによって大型投資が少しでも回収できることを期待することになりそうです。

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