トレード期限前は「売り手」と「買い手」のどちらに?ボーダーライン上の5球団の現状

2005年のヒューストン・アストロズは15勝30敗と出だしの45試合で大きく負け越したため、球団幹部たちはチームの解体をオーナーであるドレイトン・マクレーン氏に提案したそうです。

しかし、ドレイトン・マクレーン氏は「あなた達はワールドシリーズを勝てるチームだと話していたではないか」と話し、チームが浮上していくことを信じた結果、残りのシーズンを74勝43敗というペースで勝ち星を重ね、ポストシーズンに進出し、さらにワールドシリーズまでたどり着きました。

こういった例もあるため、トレード期限前に自分のチームを「売り手」と「買い手」のどちらを選ぶかの決断は、非常にタフなものだとMLB公式サイトのリチャード・ジャスティス氏は述べます。

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売り手と買い手のボーダーライン上にいる5球団

今季のMLBは勝ち組と負け組が色濃く分かれているため、比較的に売り手と買い手の決断をしやすい状況ではあるのですが、トレード期限まで2ヶ月の段階で、難しい決断に直面しようとしている球団も存在しています。

MLB公式サイトのリチャード・ジャスティス氏は2018年夏のトレード市場で「売り手」になるのか、それとも「買い手」になるのかの、難しい決断に迫られつつある5球団の現状と展望について分析しています。

なお、勝敗などは記事が書かれた6月1日時点のものです。


1. タンパベイ・レイズ(28勝27敗)

・現状:ア・リーグ東地区の首位から10ゲーム、ア・リーグのワイルドカードまで5.5ゲーム差
・トレード候補となる選手:クリス・アーチャー(先発投手)、ウィルソン・ラモス(捕手)、C.J.クロン(指名打者)
・4勝13敗と出遅れた後、巻き返しているが、アレックス・コロメとデナード・スパンをトレードしているように、現在のロースターに満足していない。とりわけ若く契約年数が残る選手を獲得できるトレードであれば、耳を傾ける状態。

2. ピッツバーグ・パイレーツ(29勝27敗)

・現状:ナ・リーグ中地区の首位から6.5ゲーム、ナ・リーグのワイルドカードまで3ゲーム差
・トレード候補となる選手:フランシスコ・セルベーリ(捕手)、コーリー・ディッカーソン(左翼手)、スターリング・マルテ(中堅手)、フェリペ・バスケス(クローザー)
・ニール・ハンティントンGMは事実上すべての可能性を検討するだろうが、チームの解体には手をつけないように思える。パイレーツをポストシーズン争いに戻しただけでなく、クラブの若いコアプレイヤーは少なくとも来季は残るからだ。パイレーツは外野手に余剰があり、セルベーリは今季終了後にFAとなるが、それらの選手を獲得するには小さくない見返りが必要。

3. トロント・ブルージェイズ(25勝31敗)

・現状:ア・リーグ東地区の首位から13.5ゲーム、リーグのワイルドカードから9ゲーム
・トレード候補となる選手:ジョシュ・ドナルドソン(三塁手)、J.A.ハップ(先発投手)、マルコ・エストラーダ(先発投手)、ラッセル・マーティン(捕手)
・球団社長のマーク・シャピロは2018年に勝負をかけることを選び、チームの解体に手を付けなかったが、故障やスランプなどにより上手くいっていない。マイナーの有望な選手たちにチャンスを与えるべき時が来ている。

4. サンフランシスコ・ジャイアンツ(26勝30敗)

・現状:ナ・リーグ西地区の首位から4ゲーム、リーグのワイルドカードから6ゲーム差
・トレード候補となる選手:アンドリュー・マカッチェン(右翼手)、トニー・ワトソン(リリーフ投手)、ハンター・ストリックランド(リリーフ投手)
・トレード期限前に最も難しい決断に迫られるチームになる可能性がある。バスター・ポージー、マディソン・バムガーナーの2人を投打の軸として勝負をかけ続けているが、2014年以来ポストシーズンでは勝っていない。チームの再建を目指すならブランドン・ベルト、マディソン・バムガーナーらのトレードも検討することになるが、その可能性は高くはない。これからの数週間が期限前の方向性を決めることになる。

5. ニューヨーク・メッツ(27勝27敗)

・現状:ナ・リーグ東地区の首位から5ゲーム、ナ・リーグのワイルドカードまで4ゲーム
・トレード候補となる選手:アズドルバル・カブレラ(二塁・遊撃手)、ジェウリス・ファミリア(クローザー)、エイドリアン・ゴンザレス(一塁手)
・メッツはチームを解体することはなく、勝負をかけ続けるだろう。負傷している選手たちが順調に回復すれば、ナ・リーグのワイルドカードは十分に狙える戦力だからだ。サンディ・アルダーソンGMは苦しんでいるブルペンのテコ入れに動くだろう。


ブルージェイズが完全な売り手に方向を定めた場合には、戦力アップにつながる能力の高い選手を多く抱えていますので、トレード市場の中心的な存在になると予想されます。
ブルージェイズは名の知れた選手たちが健康であれば、十分に戦える戦力であることに加えて、MLBトップクラスとなった観客動員を維持するために、2018年も引き続き勝負をかけました。

しかし、主力選手の故障が相次いだことで浮上できていません。トレード期限前にチームを解体した場合には、シーズンの半分以上を消化していますので、観客動員への影響を軽減できるため、シーズンオフよりは決断しやすい状況にあります。

難しい判断を迫られるのがサンフランシスコ・ジャイアンツです。

マディソン・バムガーナー、マーク・メランソンらが復帰してくるものの、離脱しているジョニー・クエトのメドは立たず、ジェフ・サマージャが右肩の問題で故障者リストに入ってしまいました。
補強の目玉だったエバン・ロンゴリア、アンドリュー・マカッチェンが打線の軸として機能しきれていないなど、誤算が多くあり、展望が明るくはありません。

しかし、ドジャースも故障者続出の状態で停滞しているため、ナ・リーグ西地区は混戦状態で、諦めをつけにくい状況でもあります。

ただ、球団のこれまでのスタンス、方針を見る限り、「売り手」に回ったとしても大幅な解体は考えにくく、FA間近の選手の放出はしても、マディソン・バムガーナーは残して2019年に勝負をかける可能性が高いのではないかと予想されます。

レイズはポストシーズンが見える位置にいる場合でも、トレードで主力クラスを放出する可能性が否定できません。特にメジャーレベルに達している若い選手、もしくはメジャー昇格間近のプロスペクトを見返りとして獲得できるのであれば、可能性が高まります。

このようなトレードでは主力をベテランから若い選手に切り替えることになるため、今季に勝負をかけつつ、来季以降に向けた育成もできるためです。レイズだけでなくパイレーツも同様の方向性になるのではないかと予想されます。

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