■ アトランタ・ブレーブスの2017年シーズン戦力分析の目次
1. 2016年シーズンの主要な成績の一覧
アトランタ・ブレーブスの2016年シーズンの、打撃、守備、投手の主要な成績の一覧です。
攻撃 | スタッツ(リーグ順位) |
---|---|
得点 | 649(14位) |
打率 | .255(10位) |
出塁率 | .321(9位) |
長打率 | .384(15位) |
OPS | .705(13位) |
本塁打 | 122(15位) |
盗塁 | 75(9位) |
盗塁成功率 | 69%%(9位) |
守備 | スタッツ(リーグ順位) |
---|---|
UZR | -12.9(9位) |
DRS | -37(15位) |
投手 | スタッツ(リーグ順位) |
---|---|
防御率 | 4.51(11位) |
先発防御率 | 4.87(14位) |
ブルペン防御率 | 3.95(10位) |
セーブ数 | 39(9位) |
セーブ成功率 | 67.24%(9位) |
2017年の新球場への移転に合わせて、戦えるロースターにするために小規模な再建モードを行うと当初は宣言していたものの、蓋をあけてみれば主力の大半の放出する大規模な再建モードになりました。
その結果、2015年は67勝95敗で地区4位、2016年は68勝93敗で地区最下位に沈んだアトランタ・ブレーブスです。
ファームの層は厚くなったものの、メジャーレベルでまだ戦えるようなロースターにはなっていないため、攻守でリーグの下位に沈みました。
2. 2016-17シーズンオフの戦力補強動向
2016-17シーズンオフの戦力補強動向の一覧は以下のとおりとなっています。
獲得/流出 | 選手名(ポジション) |
---|---|
流出 | A.J.ピアンジンスキー(C) |
トレード流出 | シェイ・シモンズ(RP) |
トレード流出 | マレックス・スミス(OF) |
トレード流出 | ジョン・ガント(SP) |
獲得 | バートロ・コロン(SP) |
獲得 | R.A.ディッキー(SP) |
獲得 | ショーン・ロドリゲス(IF) |
獲得 | カート・スズキ(C) |
トレード獲得 | ハイメ・ガルシア(SP) |
トレード獲得 | ブランドン・フィリップス(2B) |
再契約 | エリック・オフラハティ (RP) |
再契約 | エミリオ・ボニファシオ(UT) |
メジャーリーグレベルで戦力になる補強は投手、野手ともにベテランが中心となり、メジャーリーグレベル前後の若手野手を交換要員として、さらにプロスペクトの層を厚くするトレードを成立させています。
新球場への移転に合わせて大きな負け越しをしないために必要とするパーツはベテランを獲得してメドを立てたという印象のオフの動きでした。
3. 2017シーズン開幕時のロースター編成の予想
アトランタ・ブレーブスの2017年シーズン開幕時に予想される先発スターティングメンバー、ベンチ要員、先発ローテーション、ブルペンの編成などは以下のとおりとなっています。
【先発スターティングメンバー】
- エンダー・インシアーテ(CF)
- ダンズビー・スワンソン (SS)
- フレディ・フリーマン (1B)
- マット・ケンプ (LF)
- ニック・マーケイキス (RF)
- ブランドン・フィリップス (2B)
- アドニス・ガルシア (3B)
- タイラー・フラワーズ(C)
【ベンチ要員】
- カート・スズキ(C)
- チェイス・ダーノー (UT)
- エミリオ・ボニファシオ (UT)
- ジェイス・ピーターソン (UT)
再建モードのチームの中にあってトレード放出しなかったのが主砲のフレディ・フリーマンとエースのフリオ・テヘランです。
フレディ・フリーマンは今季の開幕時は27歳で、2021年まで契約が残っていますが、昨年に打率.302/出塁率.400/長打率.569/OPS.968、34本塁打、91打点と大型契約延長に相応しい数字を残したのは明るい材料となっています。
注目されるのはデレク・ジーターと比較されることの多いダンズビー・スワンソンがどれくらいの活躍をするのかということろで、今季の新人王候補の一人と目されています。
ゴールドグラブ賞を獲得したエンダー・インシアーテはすでに2021年までの契約延長で合意するなど、ブレーブスのコアプレイヤーとなることが期待されていますので、さらなるステップアップができるかも注目ポイントです。
【先発ローテーション】
- フリオ・テヘラン (右)
- バートロ・コロン(右)
- ハイメ・ガルシア (左)
- R.A.ディッキー(右)
- マイク・フォルテネービッチ(右)
【ブルペン】
- CLO:ジム・ジョンソン(右)
- SET:アローディス・ビスカイーノ (右)
- SET:イアン・クロル (左)
- RP1:ホセ・ラミレス (右)
- RP1:ケヴィン・チャップマン (左)
- RP2:デビッド・ヘルナンデス (右)
- RP3:エリック・オフラハティ (左)
- RP4:ジョシュ・コルメンター(右)
2016年のアトランタ・ブレーブスは30歳よりも上の年齢の投手が先発したのは23回にとどまったのですが、今季はバートロ・コロンとR.A.ディッキーの40歳オーバーの2人に、30歳をこえているハイメ・ガルシアが入っています。
エースのフリオ・テヘラン以外はフロントスターターとは言えるレベルの投手ではなく、ミドルスタータークラスを揃えている布陣です。
リリーフ陣は2年の契約延長をすませたジム・ジョンソンが務めることになりますが、全体的に質と量ともに不安を感じさせるものとなっています。
4. 寸評・評価
ターナー・フィールドから2017年に新球場のサントラストパークへの移転を見据えて、チームを解体したブレーブスです。
そのロースターの組み換えがかなり大規模になったこと、起用していた若い選手たちが完全なメジャーレベルでの実績を残せるようにはならなかったことなどもあり、ベテランで何とか体裁を整えている感は否めません。
トレードで獲得したショーン・ロドリゲスが自動車事故で負傷してしまうと、さらにブランドン・フィリップスを獲得せざるを得なくなるなど、まだまだ若い選手が育ちきっていません。
リリーフでは平均で100マイルを投げるマウリシオ・カブレラが肘を痛めたり、ステップアップが期待される選手も停滞気味なのも気になるところです。
ただ、MLB全体でもNO.1の評価を受けることのあるファームの選手層は厚いため、もう少し待てば大きな光が見えてくる状況ではあります。
MLB公式サイトのプロスペクトトップ100ではブレーブスから6人がランクインしているのですが、10位にランクされていて二遊間を守れるオジー・アルビス、同80位のシーン・ニューカムは3Aで開幕を迎え、シーズン中にメジャー昇格が見込まれます。
また他にもケビン・メイタン内野手(#32)、コルビー・アラード投手(#53)、マイク・ソローカ投手(#78)、イアン・アンダーソン投手(#86)といった投手たちが1Aにいますので、早ければ来年後半にもメジャーに昇格してくる可能性があります。
着実にファームで選手は育っているのですが、メジャーレベルではまだまだ戦力として期待できないため、当面はベテラン選手を中心に戦っていくことになるブレーブスです。
ただ、予算に制約があり、若い選手たちのために予算を残しておく必要もあるため、格安のベテランでチームを構成せざるえず、全体的に見劣りはします。
昨年よりは勝ち星が増えそうな布陣とはなりましたが、質と量ともに物足りなさを感じるロースターで、様々な要素がかなり上手く噛み合った場合でも勝率5割に近づくことができるかどうかとなりそうです。
新球場への移転元年ですが、ポストシーズンに到達するというのは、現実的な目標であるとは言い難いブレーブスで、もう少し忍耐が必要になりそうです。