ブラッド・ミラーがマリナーズのベン・ゾブリストに?ユーティリティ・プレーヤーに挑戦することが決定

Seattle Mariners Top Catch

スプリングトレーニングに入る時点で、多くのポジションが固定されていた状態のマリナーズでしたが、唯一ポジション争いが繰り広げられていたのが、ショートのブラッド・ミラーとクリス・テイラーの争いでした。

スプリング・トレーニングではクリス・テイラーが8試合19打数で打率.421/出塁率.450/長打率.842と好調で、同様に好調だったブラッド・ミラーと激しく争っていたのですが、テイラーが骨折で離脱するというかたちで決着がついてしまいました。

そのため開幕からブラッド・ミラーが起用されることになり、クリス・テイラーは故障箇所が癒えるのを待って、マイナーでプレーを再開することになりました。

スポンサーリンク

ブラッド・ミラーはレギュラーを一旦は獲得も・・・

マリナーズ首脳陣、メディアの共通の認識としてブラッド・ミラーが攻撃面で優れ、クリス・テイラーが守備面で優れるの評価だったのですが、開幕から1ヶ月が経とうとする時点で、ミラーのバッティングが期待されたとおりではありません。

守備面では、特にスローイングが不安定で4つのエラーを記録するなど、課題があらためて露呈した上に、期待された打撃面で打率.250/出塁率.301/長打率.382と低迷しています。

守備率.961と規定イニングに到達している遊撃手28名の中で18位、レンジファクター(アウト寄与率)は4.24で17位、セイバーメトリクスのスタッツでは守備防御点(DRS)が-3と、こちらも平均を下回るパフォーマンスとなるなど、守備面で課題があるにも関わらず、攻撃面で貢献ができていません。

このような守備面での課題があることはマリナーズ首脳陣も認識していたのですが、攻撃面でのポテンシャルに期待して、ある程度目をつぶって起用してきたのですが、クリス・テイラーがメジャーでプレーできる状態になったことによって、状況が変わってきました。

クリス・テイラーはすでに3Aで21試合80打数で2本の本塁打を打ち、打率.313/出塁率.385/長打率.475と安定した打撃で、メジャーに昇格し、さっそく先発でも起用されていいます。

そうなると今後の焦点は「誰がマリナーズのショートのレギュラーを務めるのか?」ということになるのですが、マリナーズの首脳陣は基本的にクリス・テイラーをレギュラーに据えて、ブラッド・ミラーをユーティリティプレーヤーとして起用する方針を明らかにしました。

ブラッド・ミラーをユーティリティに配置転換することの意味と目的

ロイド・マクレンドン監督はメディアに以下のように話しています。

“He’s(Brad Miller) going to play all over,” McClendon said. “My vision is hopefully to see him as a Ben Zobrist-type player. We’ll see. Listen, this is not etched in stone. This is something we’re trying and we’ll see where it goes.”

管理人訳『ブラッド・ミラーはフィールドの至るところでプレーすることになる。』とマクレンドンは述べた。『彼がベン・ゾブリストのようなタイプのプレーヤーとして目にすることが私のビジョンて、その成り行きを見守るつもりだ。ただ、これは完全に確定したものではない。これは私たちが挑戦しようとしていることであり、それがどうなっていくのかを見守るつもりだ。』

ブラッド・ミラーはすでにセカンドとサードを守ることができるのですが、それだけにとどまらず内外野の守備をこなせるベン・ゾブリストのようなスーバー・ユーティリティとして育てていく方針であることを明言しています。

ただ、完全に固定してしまうということではなく、ブラッド・ミラーがどのようなプレーを外野手として見せるのかを、まずは見守るという姿勢です。

そしてそのことはすでにブラッド・ミラーにも伝えられていて、ミラー本人が以下のように話しています。

“They just told me I won’t be playing short,” he said. “I’ll be playing other spots. Just kind of go from there. I was pretty frustrated, but I’m a player. I go out and play. They make the decisions.” (中略) “I’m a professional and this is my job. They’re my boss. If they say ‘do this,’ that’s what I do. It’s pretty simple from that (perspective). You’ve just got to be a professional about it.”

管理人訳『彼ら(マリナーズ首脳陣)から、自分のポジションがショートでなくなることを告げられた。』と彼は述べた。『自分は他のポジションを守ることになるだろう。ただ、そこのポジションから去るとということだ。自分はとても失望したけれど、私は選手だ。私はグラウンドに出て行って、プレーする。そして彼らが決断する。』(中略)『私はプロフェッショナルで、これが自分の仕事だ。そして彼らは自分のボスだ。彼らが「こうしてくれ」と言えば、それが自分のやることだ。そのような観点で見れば、とてもシンプルな話で、このことについてプロフェッショナルであるべきだ。』

ブラッド・ミラーはドラフト指名される前の大学時代からプロ入り後の5年間を遊撃手としてプレーし続けてきたため、そのポジションを失うことは、少なからぬショックであったことを吐露しています。しかし、自分がプロして受け入れるべきことだと、自分に言い聞かせるかのように話しています。

マクレンドン監督は、内外野の多くのポジションを守れるスーパーユーティリティプレーヤーがいることは、チームにとって非常に意味があるだけでなく、ブラッド・ミラー本人の攻撃面での才能を開花させる可能性を広げる面でも意味があると話します。

“I played the infield,” McClendon said, “and when I went to the outfield, the game slowed down considerably and, as a result, I became a better offensive player. I think this will help Brad as well. It’s probably difficult to see right now, but playing the outfield may have its advantages for him. I think he’s talented enough to (play several positions).

管理人訳『私は内野を守っていた。』とマクレンドンは語った。『そして私は外野にポジションを変えた時、試合のスピードが急激にスローダウンし、その結果、私は攻撃面でより良いプレーになった。このようなことがブラッド・ミラーを助けることになると私は考えている。現時点では見えてきにくいものだが、外野を守ることは彼にとってアドバンテージになるかもしれない。私は彼が多くのポジションを守るのに十分な才能を持ち合わせていると考えている。』

マクレンドン監督は自身が、内野手から外野手に転向した時とに守備面での負担が減ったことが攻撃面での向上につながったように、ブラッド・ミラーの攻撃面での才能を引き出すキッカケになるのではないかと期待しています。

またこの動きは来年以降のマリナーズのチーム事情も絡んできています。

ユーティリティプレーヤーのウィリー・ブルームクイストとメジャーではセカンドを守り続けてきたものの、マリナーズ移籍後にレフトを守っているリッキー・ウィークスの2人はいずれも今季終了後にFAとなるため、ユーティリティプレーヤーがいなくなってしまいます。

その後釜を外部から獲得することもできますが、内部で育成できるに越したことはありません。

そしてショートのポジションのクリス・テイラー以外のプロスペクトがマイナーに控えていることも、ブラッド・ミラーのユーティリティプレーヤーの転向に関係しています。

マリナーズ傘下の選手では、ショートにチーム内のNO.3プロスペクトとして評価され、高い守備力と攻撃面ではリードオフマンになれるポテンシャルがあるとされるケーテル・マルテがいます。

ケーテル・マルテは、今シーズン開幕から3Aでプレーし、26試合108打数で打率.324/出塁率.362/長打率.380/盗塁9という成績を残していて、シーズン中盤以降にはメジャー昇格が可能な状態になっています。

このマルテの存在も、ブラッド・ミラーをユーティリティプレーヤーに動かす決断を後押ししていると言えそうです。

ミラーがレギュラーから外れることがマリナーズのロースターに与える影響は?

マリナーズのアクティブロースター(25人枠)は、投手12人と野手13人で構成されていて、野手13名の編成が現地の5月5日時点で以下のようになっています。

【レギュラー】

  • 捕手:マイク・ズニーノ
  • 一塁手:ローガン・モリソン
  • 二塁手:ロビンソン・カノ
  • 三塁手:カイル・シーガー
  • 遊撃手:クリス・テイラー
  • 左翼手:ダスティン・アクリー
  • 中堅手:ジャスティン・ルジアーノ
  • 右翼手:ネルソン・クルーズ
  • 指名打者:セス・スミス

【控え】

  • 捕手:ヘスス・スクレ
  • UT:ウィリー・ブルームクイスト
  • UT:ブラッド・ミラー
  • UT:リッキー・ウィークス

現在、オースティン・ジャクソンが15日間の故障者リストに入り、アクティブロースターにスペースがあったため、クリス・テイラーを入れることができました。

しかし、オースティン・ジャクソンが復帰してきて、その時に他に故障者が出なければ、アクティブロースターから誰かを外す必要があります。

その際に注目されるのが、ウェーバーにかけずにマイナー降格できるオプションが残っているプレーヤーなのですが、各メディアの情報によると、該当するのがマイク・ズニーノ、カイル・シーガー、ヘスス・スクレ、ブラッド・ミラー、ローガン・モリソン、クリス・テイラーらとなっています。

このうち捕手は少なくとも2人をロースターに入れる必要がありますし、カイル・シーガーは25人枠から外す可能性は極めて低く、ファーストのローガン・モリソンもバックアップがウィリー・ブルームクイストとなるなど手薄なポジションのため、外しにくいと予想されます。そのため、現実的な降格の候補となりそうなのがブラッド・ミラー、クリス・テイラーの2人となります。

マリナーズは今回の決断で、当面はクリス・テイラーをレギュラーとして育てていくことを選んでいるため、マイナーで外野守備の経験を積ませる目的もこめて、ブラッド・ミラーをマイナー降格させる可能性が高いと予想されます。

しかし、オースティン・ジャクソンが戻ってくるまでの期間に、ブラッド・ミラーが目覚ましい結果を残すようであれば、シーズン終了後にFAとなる上に、打撃が低調なウィリー・ブルームクイスト(打率.238/1年300万ドル)やリッキー・ウィークス(打率.200/1年200万ドル)らをトレードもしくはDFAすることも選択肢となってきそうです。

他に考えられる選択肢としては、ブラッド・ミラーがユーティリティとして機能しない上に、先に紹介したケーテル・マルテに見込みがつくようであれば、ミラーを交換要員として先発投手を獲得する可能性も否定できません。

シーズンオフにはショートの補強を必要としていたメッツ、ヤンキースなどがミラーに関心を示していたと報じられていました。

ブラッド・ミラーはすでに昨シーズン終盤に外野の守備練習を行っていて、その動きの良さからコーチのバンスライクから高くそのポテンシャルを評価されていましたし、今シーズンもここ最近の2試合の試合前にはセンターのポジションでの練習を行っています。

ブラッド・ミラーのユーティリティプレーヤーとしての適性に加えて、その転向によるロースターへ影響も、今後のマリナーズの編成を見ていく上で、注目していきたいポイントです。