マリナーズのファームがMLBワースト評価に・・・ディポトGMはなぜ上位プロスペクトを放出したのか?

Seattle Mariners Top Catch

シアトル・マリナーズはジェリー・ディポトGM体制になってから非常に多くのトレードを成立させてきました。

そのトレードはメジャーレベルのロースターの入れ替えのみならず、マイナーレベルの選手も多く入れ替えるものとなりました。

一連のトレードによりマリナーズのメジャーレベルのロースターは、契約年数が残る若い選手が増えました。しかし、ファームのプロスペクトの層はかなり薄くなりました。

ジャック・ズレンシック氏体制時のドラフト指名と選手育成の失敗が重なり、ジェリー・ディポトが就任する前の時点でファームの評価はMLB全体でも下から数えた方が早いところまで落ちていました。

さらにディポトGMが多くのトレードを成立させてきた結果、ベースボール・アメリカが2018年のプロスペクトランキングでマリナーズのファームがMLBでワーストだと評価するに至りました。

以下はベースボール・アメリカの記事からの引用です。

There is little truly strong in baseball’s worst farm system, but there are some outfielders who have promise. Kyle Lewis is a frontline prospect if he can stay healthy, while top international signing Julio Rodriguez brings everyday upside.

「MLBでワーストのファームシステムとなっているマリナーズには本当に強みといえるものが、ほとんどない。」と酷評されています。それでも「外野手のカイル・ルイスに関しては健康でさえあるならば期待できる。」と救いのコメントは加えられています。

カイル・ルイスは2016年ドラフト1巡目全体11番目で指名された22歳の選手で、マリナーズで唯一トップ100にランクされるレベルの選手です。記事で言及されているフリオ・ロドリゲスはインターナショナルFAで契約した外野手で、チーム内では4番手にランクされていますが、レギュラーになれる可能性があるという評価にとどまっています。

外野はこの2人がいるため、まだ希望があるのですが、致命的に選手層が薄いのが先発投手だとベースボールアメリカは評価しています。

The Mariners are short on starting pitching at the big league level, a problem because there is virtually none to be found in their system. After trading away Luiz Gohara, Nick Neidert, Freddy Peralta, Ryan Yarbrough, Brandon Miller, Juan Then and Juan De Paula–among others–in recent years, the Mariners’ system has nothing but future relievers and spot starters, at best, outside of 2017 draftee Sam Carlson.

「メジャーレベルで先発ローテに入れるような選手が、ファームで事実上見当たらない」と酷評されています。その原因として「ルイス・ゴハラ、ニック・ネイダート、フレディ・ペラルタ、ライアン・ヤーブロー、ブランドン・ミラー、フアン・ゼン、ホアン・デ・ポーラらがトレードで放出されたから」だと指摘しています。

このように手薄なファームの投手の中にあって、「良くてメジャーレベルのリリーフとスポット先発のスイングマンになれる可能性がある」と評価されているのが2017年ドラフトで2巡目全体55番目で指名されたサム・カールソンだと名前が上がっています。ただ、そのサム・カールソンは高卒の19歳でルーキーリーグで2試合を投げただけの選手で、限りなく未知数です。

マリナーズのトレードの動きをつぶさに観察しているファンであれば、ファームが荒れ野に近い状態になっていることは認識していることで、ジェリー・ディポトGMへの批判の声は少なくありませんでした。

しかし、ジェリー・ディポトGMの責任だけではないとして、放出された上位クラスのプロスペクトが抱えていた問題について、シアトル・タイムズのライアン・ディビッシュ氏が記事にしています。

ライアン・デビッシュ氏は、「ジェリー・ディポトがジャック・ズレンシックから引き継いだファームシステムは、その時点ですでに無残なもので、ワーストに近いところまで落ちていた」と述べます。

その上で、なぜファームがワーストまで落ちるようなトレードが行われたのかが説明されています。

Separate deals sent away left-handed pitcher Luiz Gohara, outfielder Tyler O’Neill, outfielder and former No. 6 overall pick Alex Jackson and last year’s top starting pitching prospect, Nick Neidert.

投手のルイス・ゴハラ、外野手のタイラー・オニール、1巡目全体6番目で2014年に指名した外野手のアレックス・ジャクソン、2017年にマリナーズ傘下でベストの先発投手として評価されたニック・ネイダートを、様々なトレードで放出しました。

Of the four, Gohara had the most upside. But off-the-field character issues seemed to overshadow his mid-90s fastball to the Mariners, making him expendable. O’Neill gave the Mariners a true power threat in left field. But an increased strikeout rate in his first year at Class AAA, the emergence of Ben Gamel at the big-league level and the Mariners’ thirst for starting pitching led to a midseason trade to the Cardinals for lefty Marco Gonzales.

その4人の中でも90マイル中盤のファーストボールを持つゴハラのポテンシャルへの評価は高いものがありました。しかし、「フィールドの外での素行に問題」があることを重大視し、交換要員とする決断をしたようです。

タイラー・オニールは2015年に1Aで32本塁打、2016年に2Aで24本塁打、2017年も3Aで31本塁打と長打力への評価が高い選手で、強打のレフトフィールダーとしてマリナーズでも期待されていました。しかし、3A昇格後に三振の数が増え(557打席で151三振)、メジャーでベン・ギャメルが台頭し、先発投手がとうしても必要だったチーム事情があり、マルコ・ゴンザレスの交換要員として放出されるに至ったことが説明されています。

Jackson was on the verge of being a bust in the Mariners’ system. Shoulder problems, strikeouts and issues with minor-league coaching staff regarding his commitment to baseball seemed to determine his fate with the new regime.

ジャクソンはマリナーズのシステムの中でもブレイク・アウトする寸前だったのですが、肩の故障、三振の数が多い、さらにマイナーのコーチ陣が「野球に取り組む姿勢に疑問がある」ことを指摘するなどした結果、放出しても構わないとの判断に至ったようです。

Neidert was a nice prospect for depth. That he was considered the Mariners’ top pitching prospect last season before he was traded to the Marlins this offseason speaks to the system’s lack of depth. He projects as a No. 4-5 major-league starter at best. A lack of fastball velocity — 89-92 mph — seems to be his biggest hindrance.

ネイダートはマリナーズのファームではトップクラスの先発投手だったものの、良くて先発ローテの4番手、5番手レベルという評価にとどまっていました。その理由は「ファーストボールの球速不足」で、89マイルから92マイル程度しか出ないことがネックとなり、こちらも放出しても構わないという判断となったようです。

2014年の1巡目指名がオースティン・ジャクソンで、2015年はネルソン・クルーズと契約したため最上位のドラフト指名権を失い、2巡目全体55番目でニック・ネイダートを指名しています。

タイラー・オニールは2013年ドラフト3巡目指名の選手で、ルイス・ゴハラは2012年8月にインターナショナルFAで契約しています。

すべてジャック・ズレンシックGMの元でドラフト指名、契約した選手ばかりです。

ジャック・ズレンシックGMが上位指名する野手は、長打力があるものの、三振が多く、フリースインガーの傾向が強い選手が多く見受けられました。

ジャック・ズレンシックが担当したドラフト指名は以下のとおりとなっています。

  • 2009年:ダスティン・アクリー(1巡目2番目)、ニック・フランクリン(1巡目27番目)
  • 2010年:タイファン・ウォーカー(1巡目43番目)
  • 2011年:ダニー・ハルツェン(1巡目2番目)、ブラッド・ミラー(2巡目62番目)
  • 2012年:マイク・ズニーノ(1巡目3番目)
  • 2013年:D.J.ピーターソン(1巡目12番目)、タイラー・オニール(3巡目85番目)
  • 2014年:アレックス・ジャクソン(1巡目6番目)
  • 2015年:ニック・ネイダート(2巡目55番目)

マイク・ズニーノ以外は、現在のマリナーズの傘下のチームには所属していません。ダニー・ハルツェンは2017年に学士の取得のために、FAとなり大学に戻ってしまいました。2018年は野球に復帰する予定ですが、1巡目全体2番目指名の選手としては寂しい現状です。

ダスティン・アクリー、ニック・フランクリン、ブラッド・ミラー、マイク・ズニーノらは長打力はありますが、三振が多く粗さが目立つ選手で、そのことがメジャーレベルで活躍しきれない原因でした。ブラッド・ミラーに関してはレイズで片鱗を見せてはいますが、三振は多いままです。

D.J.ピーターソンは、2017年に7月にDFAされてウェーバーにかけられたところホワイトソックスが拾います。しかし、9月にはホワイトソックスがウェーバーにかけて、レッズが拾うという状態で、プロキャリアそのものが危機に瀕しています。

D.J.ピーターソン、アレックス・ジャクソン、タイラー・オニールらに共通するのは「長打力は魅力も、粗さが目立つ」というもので、アクリー、フランクリン、ズニーノらと似たような傾向を持っていました。ある意味、ズレンシック好みの選手です。

このようなジャック・ズレンシック体制時の、継続的なドラフト指名と選手育成の失敗、なおかつ主力は年齢が高く、年俸も高額のため、本来であれば再建モードを選択すべき状態です。

しかし、マリナーズの方針として、再建ではなく、勝負をかけるということを選んでいるため、ディポトGMは、荒れていたファームをさらに枯らすようなトレードをせざるを得なかった面があります。

シーズン途中でポストシーズンが厳しい状況であれば、ファイヤーセールを実施して、チームを立て直すことを視野にいれるべき状態です。
2018年でネルソン・クルーズ、2019年でフェリックス・ヘルナンデスがFAとなるため、どちらにしても勝負をかけるのは2018年が一区切りになる可能性が否定できないマリナーズです。

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