ヤンキースの打線が得点力不足で苦しんでいます。
その象徴的な存在となっていたのが、アレックス・ロドリゲスで15試合55打数で打率.145/本塁打2/打点6/出塁率.242/長打率.273と極度の不振に陥っています。
そのアレックス・ロドリゲスが現地の4月24日のレイズ戦で脇腹を痛め途中交代し、戦線を離脱することになりました。
故障者リストに入るかどうかは決定していませんが、短くない期間、試合に出れないことは確実な見込みです。
しかし、不振のアレックス・ロドリゲスが試合に出れないことは大きな痛手ではないと考えられるのですが、ヤンキースはそう捉えていないとEPSNのダニー・ノブラー(Danny Knobler)が伝えています。
なぜアレックス・ロドリゲスにヤンキースは期待せざるをえないのか
ニューヨーク・ポストのKen Davidoffは不振のアレックス・ロドリゲスが故障者リストに入ることは、ヤンキースが浮上するキッカケになるのではないかと分析しています。
ここまでの打撃成績でありながら指名打者の位置を占めているアレックス・ロドリゲスがいなくなり、その代わりにカルロス・ベルトランをDHにまわし、短期間での復帰が見込まれるアーロン・ヒックスを外野で起用する機会を増やすことができるというのが、その理由としてあげられています。
しかし、EPSNのダニー・ノブラー(Danny Knobler)は、それでもヤンキースはアレックス・ロドリゲスが短期間で戻ってくることを願っていると伝えています。
“Despite struggles, Alex Rodriguez still Yankees’ best hope”というタイトルの記事の中で以下のように書かれています。
He was still a big focus on a team not getting many hits, even though he hasn’t been contributing himself.
At least the Yanks still believe A-Rod can hit, which is more than you can say for a lot of the Yankees, particularly when the opposing pitcher throws with his left hand.
内容を要約すると、貢献していない状態のA・ロッドだが、打撃不振に苦しむヤンキースにとって重要な存在で、特に左投手との対戦では彼は攻撃力を発揮できると信じられている、のでヤンキースは早期の復帰を望んでいるということです。
ヤンキースは今シーズンの17試合中8試合で2点以下に抑えられていて、これより悪いのはフィラデルフィア・フィリーズとサンディエゴ・パドレスの2球団だけとなっています。
そして17試合中12試合で3点以下に抑えこまれていて、この数字より悪いのは攻撃力の弱いレイズと再建モードのフィリーズの2球団しかありません。
チーム総得点66はア・リーグ9位と良くはないのですが、ほどほどの数字です。ですが、その中身はとなるなど、違ってきます。
この66点のうちアストロズに勝った1試合16得点という大勝が含まれていて、それを除いた16試合では50点しか点がとれていません。つまり1試合平均3.12点しか奪えていないということです。
さらに問題なのは左投手にかなり苦しめられていることです。
両打ちのアーロン・ヒックスを失っているヤンキース打線ですが、ここにきて右打ちのアレックス・ロドリゲスまで失うことにななりました。
左投手に苦しむヤンキース打線
4月24日のレイズ戦でも左腕のドリュー・スマイリーの前に7回1失点と抑えこまれるなど、ヤンキース打線は左腕投手に苦しんでいます。
17試合を終えた時点でのヤンキース打線のチーム打率は.238、OPS.689とあまり良くはないのですが、左投手となると打率.225・OPS.602とさらに厳しい数字となります。
そのため左投手の攻略が大きな課題となっていると、地元メディアでは分析されていたヤンキースです。
ただ、ヤンキースが期待されているとするアーロン・ヒックスとアレックス・ロドリゲスともに左投手を打てているわけではありません。
アーロン・ヒックスの対左投手の成績は打率.067、OPS.243、アレックス・ロドリゲスは打率.105、OPS.333とチーム平均を押し下げている数字しか残せていません。
それでもアレックス・ロドリゲスが離脱した場合の、バックアップ要員が左打ちのダスティン・アクリーとなるのが痛手です。
ダスティン・アクリーはキャリア通算で対左投手に打率.232/出塁率.293/長打率.336/OPS.629という数字しか残っていませんし、今季は8打数しかありませんが、ノーヒットという現状です。
そのため昨年は左投手に対して打率.263/出塁率.394/長打率.532/OPS.926という数字を残しているアレックス・ロドリゲスに頼らざるを得ない選手層のヤンキースとなっています。
昨シーズンのヤンキースがポストシーズンに進めたのは、マーク・テシェイラ(率.255/本31/点79)、アレックス・ロドリゲス(率.250/本33/点86)、ブライアン・マッキャン(率.232/本26/点94)らが長期にわたる離脱をすることなく、中軸として一定の数字を残せたことが要因の1つでした。
しかし、今季はブライアン・マッキャンは打率.280/出塁率.390/長打率.480/OPS.870と数字を残していますが、アレックス・ロドリゲスは冒頭で述べたように不振で、マーク・テシェイラも打率.218/出塁率.368/長打率.382/OPS.750とさえません。
この中軸の迫力不足もありアンドリュー・ミラー、デリン・ベタンセスのリリーフ2枚看板も十分に活かせない状況が続いています。
ベテラン選手が多いにもかかわらず選手層が厚いとは言えず、シーズン中の補強に動くにしても、交換要員となる質の高いプロスペクトはトレードに出さない方針のため、強力なグレードアップは期待しにくいヤンキースです。
そのためアレックス・ロドリゲスに期待せざるをえない台所事情ではあるヤンキースです。
打撃不振に苦しみ、さらには左投手を苦手としている打線を、どのようにテコ入れしていくのか、動きが注目されるヤンキースです。