レッドソックスの新監督アレックス・コーラが明かした「新しい方針・方向性」

Boston Redsox Top Catch

レッドソックスは地区2連覇という実績を残したものの、クラブハウスの雰囲気を良好なものにし、選手に一体感をもたらしきれなかったジョン・ファレル監督を下ろし、新たにアストロズでベンチコーチを務めていたアレックス・コーラを監督に迎えました。

ポストシーズンで早々と敗退したことからの巻き返しを期待する地元メディアの42歳と若い指揮官への注目度は高く、多くの媒体でアレックス・コーラが就任会見で話した内容を報じています。

ここでは地元メディアの一つであるプロビデンスジャーナルのティム・ブリットンが整理した、アレックス・コーラ監督の指揮官としての6つの哲学・方針を紹介していきます。

内容の要約は以下のとおりとなっています。

1. 選手とより近い関係を築く

監督が『選手との関係が近すぎる』というような状況は存在しない。アストロズでもカルロス・ベルトランが不振で苦しんでいた時に、「率直に彼に話さないといけないことがあった、しかし、2人の関係が損なわれることはなかった」と話し、コーチに積極的に選手とコミュニケーションをとるように進める方針。「選手と話し、良い関係を築くことは悪いことではない。人によってはラインを越えているとかんがえられるかもしれないが、私はそうは考えていない。」自身の考えを明かす。

2. データによる解析を進んで活用するが、その奴隷とはならない

データ解析を重視するアストロズでは、多岐にわたる多くの情報が提供されていて、コーラはそのことを気に入っていた。コーラはレッドソックスで監督になるにあたり、フロントを説得し、クオリティ・コントロールコーチというデータや映像を統括して提供する役割をおくことに成功した。レッドソックスでもデータをより重視するものの、データによるプランに囚われすぎないようにすると話す。

3. 詳細なところまで注意を払う

相手チームの弱点を利用するだけでなく、それをいつ実行するかについても強調する。「アウトカウントの重要性」を強調していて、いつアグレッシブに走塁すべきか、どのタイミングでバッターボックスで勝負をかけるべきかにも気を配る。

4. ハードヒットできるボールに対して攻撃的に

攻撃面では、ボールに角度をつけて本塁打を増やすべきなのかどうかについては明言をさけたものの、「攻撃の鍵は強く打てる球を待ち、それを捉えていくということを継続すること」と述べて、それは「初球からでもその姿勢でボールにアプローチすることが重要」であることを強調。アレックス・コーラは「ザンダー・ボガーツとムーキー・ベッツにはもっとアグレッシブにあるように話すつもりだ。すべての選手が多くの球数を投げさせることに気をつかう必要はない」と話す。

5. 賢明に攻撃的な走塁をする

デーブ・ドンブロウスキー社長は来季はより走塁面を強調する方針であることを話し、コーラ監督もその方針に従う姿勢。ただ、彼は適切なタイミングと状況で、積極的な走塁をすることを強調。「ワールドシリーズの第7戦でアレックス・ブレグマンがダルビッシュから3盗に成功した。彼はダルビッシュの投球について何かしらの情報を持っていて、盗塁をし、その盗塁がゲームの流れを変えた。ブレグマンはそういった情報を欲しがっていた。レッドソックスの選手たちも同じようなことをしてもらいたい」とコーラ監督は話す。

6. 内野の守備を改善する

コーラ監督はベンチコーチのロン・レニキーとともに「内野手のポジションニングをアジャストし、より良いディフェンスにする」ことを明言。

いくつかのトピックを少し詳細に見ていきます。

2番目の「データによるプランに囚われすぎない」という部分で、アレックス・コーラ監督はアストロズはワールドシリーズ第7戦での投手起用を例に挙げています。
アストロズはリリーフ投手陣に不安があったため、第7戦ではダラス・カイケル、ジャスティン・バーランダーをブルペンで待機させて起用するプランニングがあったことを明かされています。
しかし、5回にマウンドに上がったチャーリー・モートンはの調子が非常に良かったため、カイケルやバーランダーにスイッチすることなく、最後まで投げさせたことを例に挙げ、「データだけに偏らないようにバランスをとった采配をする」と話しています。

4番目の「ハードヒットできるボールに対して攻撃的に」というところでは、レッドソックスの攻撃面のデータ上の課題が指摘されています。2017年のレッドソックスは、スイングしたときの打率、出塁率、長打率がいずれもリーグワーストに沈んでいたようです。
一方のアレックス・コーラがベンチコーチを務めていたアストロズは、両リーグトップの得点力を誇っていました。そのアストロズ打線が、初球を打つ割合がレッドソックスよりも60%も多く、初球を本塁打にしたのはアストロスが55本に対して、レッドソックスは17本にとどまていています。

レッドソックスは球団全体の方針として「出塁率を高める」ことを重視していたため、四球を多く選ぶことを打者は求められていました。
その方針は、裏目に出てしまうと打者不利のカウントを招いしてしまい、相手投手のフィニッシングボールや難しいコースを打たざるをえない状況につながります。

一方の、アストロズ打線は「強い打球が打てる球種、コースにきた時は初球であっても積極的に打ちにいく」という、出塁率以上に長打率を重視しているとも言える方針で成功を収めました。
フリースインガーのように何でも初球から打ちに行くということではなく、ボガーツやベッツのような中軸を打つような選手は「強い打球が打てる球種とコースであれば、早いカウントでも思い切って振っていく」という方針に、来季は変わっていくことになるようです。

最後に6番目の「内野守備の改善」についてですが、スタッツにも内野守備に問題があること判明しているようです。レッドソックスの外野はMLBでもベストの一つである一方で、Baseball Info Solutionsによると内野に関しては平均的なチームよりも8点多く失っていたというデータが存在しているとのことです。

そこから来季はゴールドグラブ賞ファイナリストとなっているミッチ・モアランドを失い、ペドロイアは手術を受けたことにより開幕に間に合わず、その後もしばらく離脱する見込みで、経験の浅いラフェル・ディバースがサードをフルシーズンを守るため、さらに守備が悪くなる可能性があります。

ロン・レニキーはブルワーズ監督時代に、いち早く守備シフトを導入し成功しています。2011年の監督就任時に遊撃手がアルシデス・エスコバーからユニエスキー・ベタンコートに代わるという大きな守備面でのダウングレードがありながらも、守備シフトの導入によって内野の守備力を-28から-5に大きく改善させた実績があります。
そのロン・レニキーとともにアレックス・コーラは、レッドソックスの内野の守備シフトを改善していきたいと話していることになります。

データを積極的に活用するだけでなく、人間が多く集まってプレーする競技であることも大切にするというスタイルは、アストロズやドジャースなど現在のMLBで成功をおさめているチームが重視していることです。アレックス・コーラは、監督就任にあたり、それらのチームと同様の方針を打ち出していると考えられます。

能力的に高い選手が揃いながらも、チーム全体としてイマイチ機能しきれない面があった2017年のレッドソックスですが、アレックス・コーラがアストロズで体験し、学んできたものがスムーズに還元されれば、より洗練されたチームとして機能することが期待できそうです。

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