MLB複数球団が獲得に動くキューバの亡命選手”ルスネイ・カスティーヨ”

2012年はオールスターで2年連続でホームランダービーを制したことでも話題になったヨエニス・セスペデスが、2013年はヤシエル・プイグ、そして2014年はホセ・アブレイユなど、近年は毎年のようにキューバ人プレーヤーがメジャーリーグを席巻しています。

そのため現在のMLBのトレンドとして、野手はキューバ、投手は日本のトッププレーヤーという動きになりつつあると分析するアメリカのメディアも少なくありません。

そして2014年から2015年にかけてインパクトを与えることができるプレーヤーとして注目を集めているのが、2013年にキューバから亡命したルスネイ・カスティーヨ(Rusney Castillo)です。

プレー内容をMLB各球団に見せるために行われたフロリダ州マイアミでのワークアウトには28球団が視察に訪れるなど、多くの注目を集めています。そのルスネイ・カスティーヨについてまとめています。

記事公開日:2014年8月19日
最終更新日:2014年8月19日

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ルスネイ・カスティーヨはキューバ代表ではセンターを守った外野手

ルスネイ・カスティーヨは1987年6月9日生まれの27歳で右投げ右打ちの野手で、基本的にはセンターもしくはライトを守る外野手ですが、キューバの国内リーグではセカンドとショートを守っていた時期もあります。

キューバ代表では、ヨエニス・セスペデス(OAK→BOS)、レオニス・マーティン(TEX)らがいなくなった後のセンターを守っていました。

ルスネイ・カスティーヨはキューバ代表の外野手として2011年にパナマで開催された野球ワールドカップなどに出場していますが、2013年のWBCの際は、出場選手登録から外れて出場していません。これは実力で代表から落とされたということではなく、国外逃亡を計ったことが発覚したため、出場停止処分を課されたのが理由だとされています。

そしてこの出場停止処分によって、ルスネイ・カスティーヨがより強くMLBでプレーを希望して、国外に逃亡に至ったと考えられています。

そのルスネイ・カスティーヨのキューバ国内リーグでの成績は以下のとおりとなっています。

キューバ国内リーグのスタッツは様々な媒体で紹介されていて、それぞれ数字が異なるケースが多いので、参考程度となるのですが、このスタッツはキューバ人プレーヤーの成績や情報をまとめているCuban Playによるものです。

ルスネイ・カスティーヨのキューバ国内リーグでの成績

外野手として、また走者としてのスピードが武器とされているルスネイ・カスティーヨで、キューバ国内リーグの2011-12シーズンでは盗塁数でリーグ3位(27盗塁)、2010-11シーズンではリーグ1位(32盗塁)を記録するなど、盗塁に関して、キューバ国内でトップクラスであるとされています。

また打率も3割を超えたシーズンばかりで、出塁率も高く、本塁打も20本以上打つなど長打力もあるため、2シーズンでOPSが.900を超えています。

続いてルスネイ・カスティーヨのキューバ時代の打撃、走塁、守備がまとまった動画です。

ワークアウトでのMLB各チームのスカウトによる評価は?

Baseball Americaによると、マイアミでのワークアウトでは60ヤード(54.86m)走で6.4-6.5秒(50m走では約5.83-5.92秒)を記録したとされています。そのため図抜けてはいないものの、申し分ないスピードとされている一方で、肩があまり強くなく、そこが最大の弱点ではないかとも評価されています。

バッティングでは、ワークアウト前には、キューバ代表時代からのスカウティングレポートを元に、バットスピードが速く、ラインドライブを打つ打者で、本塁打も打つことができるが、二塁打と三塁打をより多く打つタイプ、要するに中距離ヒッターと目されていました。

しかし、ワークアウトで目を引いたのは、打撃練習でスタンドインさせる”パワー”だったとされています。キューバ代表時代のスカウティングの情報と異なったパワーを見せることができたのは、キューバ時代よりも9キロをほど体重が増えている身体の変化によるものではないかと分析されています。

その体重増はただ増えたものではなく、トレーニングの成果によるもので、運動能力に優れた身体が強化されたことがパワーの上昇につながっているとポジティブに評価されています。

このようなルスネイ・カスティーヨに対する評価は、あくまでワークアウトでの打撃練習であって、トップクラスの投手を相手にしていないし、守備も生の打球を受けているわけでもないので、その実力の評価はしにくいとする声もあり、4番手の外野手だと評価する球団もあると伝えられています。

その一方で、キューバ時代からスカウティングしていたスカウトなどは、これまでの情報の蓄積もあり、カスティーヨはMLBでセンターのレギュラーをやれる選手だとの声もあり、現時点では評価が分かれる状況とはなっています。

しかし、その低い評価が流れるのは、他球団との駆け引きやカスティーヨ側の要求金額を引き下げるための手段とも見られています。

というのも、この選手を追いかけている球団の顔ぶれやオファーしている伝えられる金額を見る限りでは、高い評価を受けていると考えられるためです。

カスティーヨの獲得には、タイガース、レッドソックス、ヤンキースなどが積極的で5000万ドルから最大で7000万ドル規模の4年以上の複数年契約になりそうだと予想されています。ホワイトソックスでブレーク中のホセ・アブレイユの6年6800万ドルの金額からしても、カスティーヨは複数チームから高い評価を受けていると考えられます。

ルスネイ・カスティーヨの獲得に関する懸念材料は?

では、ルスネイ・カスティーヨの獲得に関する懸念材料は全くないのか?というとそうではありません。

まもなく契約が決まるとされと伝えられるカスティーヨですが、ニューヨーク・ポストのJoel Shermanが指摘するように、現在は労働ビザではない滞在ビザでアメリカにいる状態のため、切り替える手続きに時間がかかるという問題があります。

今シーズンの戦力として考えるチームは、ポストシーズンで起用するために、8月31日までにロースターに入れる必要がありますので、残された時間が多くありません。その一方、27歳という年齢もあり、来季以降の戦力と考えるチームにとっては、まだ余裕がある状況となっています。

そして評論家のPeter Gammons氏はキューバからの亡命を手助けするグループの活動が、事実上の人身売買のようなものになってしまっていて、犯罪組織が関わることもあるとしています。

そのためMLBもその国外逃亡のプロセスにも注目していると述べていて、何かしらの調査や手続きが課される可能性もあります。ヤシエル・プイグがその問題で話題になったことは記憶に新しいところではないでしょうか。

さらにGammons氏はキューバ人プレーヤーの食生活におけるカルシウム不足による故障の可能性を指摘しています。

レッドソックスからタイガースに移籍し、今シーズンの正遊撃手として期待されていたホセ・イグレシアスが疲労骨折で今シーズンは全くプレーしていません。

そして9年3000万ドルの契約をカブスと結んで、2014のプロスペクトランキングでも51位にランクされているホルヘ・ソラーも2013年に疲労骨折で離脱しています。

これらの選手の”疲労骨折”という故障の原因がカルシウム不足によるものではないかと考えられているため、キューバ人の健康状態への懸念もあるとの指摘があります。

ルスネイ・カスティーヨはどの球団と契約するのか?

ヤンキースだけに限れば、カスティーヨを獲得した場合にぜいたく税の問題が浮上します。来シーズンにアレックス・ロドリゲスが復帰することもあり、ルスネイ・カスティーヨと契約を結べば、その契約する年俸のおよそ半分の金額がぜいたく税として課されるだろうとGammons氏は予想しています。

仮に5000万ドルの契約を結べば、2500万ドルの税金がかかるということになり、獲得にかかる費用は実際には7500万ドルとなります。そのためヤンキースはカスティーヨの獲得のために、年俸額面の1.5倍を用意する必要があることになります。

ドラフト指名権こそ失わないものの、決して安い投資ではありません。ヤンキースはジャコビー・エルズベリーと長期契約を結び、ガードナー、ベルトランと複数年のプレーヤーがいる状況で、そこまで踏み込むのか注目されます。

また、ニューヨーク・ポストのJoel ShermanとCBSスポーツのJon Heymanは、ヤンキースはセカンドで起用することを考えているのではと分析しています。そのためカスティーヨを外野手としてだけでなく、内野も守れるユーティリティプレーヤーの補強として資金を出す可能性はありそうです。

またレッドソックスはアレン・クレイグ、ヨエニス・セスペデスと獲得し、プロスペクトのムーキー・ベッツやジャッキー・ブラッドリーに加えて、ビクトリーノ、ホルツなどもいて、外野手があふれている状況です。しかし、ボストンの地元メディアは獲得にかなり積極的だと伝えていて、交渉の結果とともに今後の編成も気にかかるところです。

2015年にルスネイ・カスティーヨが注目集める選手となることは、ほぼ確実で、場合によっては2014年のポストシーズン争いにもインパクトを与える可能性があります。それを狙いとして獲得に動いていると考えられる球団も複数あります。

ヤンキース、レッドソックス、タイガースの他にも、カブス、フィリーズ、ジャイアンツ、ブルージェイズ、マリナーズ、ブレーブス、ホワイトソックスも獲得に動いていると伝えられていますので、今後の動向とその結果が注目されます。

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