7月末のトレード期限前に話題をさらったのが、ジョン・レスターがレッドソックスからアスレチックスへ移籍することになったトレードの成立でした。
2014年シーズン終了時点でFAとなるため、シーズン開幕前からシーズン前半にかけて契約延長の交渉が行われたものの、うまくいかなかったため、レッドソックスはトレードで放出するということになりました。
ジョン・レスターはレッドソックスとボストンに強い愛着を持っていたものの、アスレチックスへ移籍後に成績を落とすようなことはなく、不調に落ちいてアスレチックスがポストシーズンに生き残る上で大きな支えとなりました。
ジョン・レスターは移籍後に、防御率がさらに向上するなど、シーズン全体の成績では自己ベストとなる数字を多く残し、評価はシーズン開幕前より高まり、このオフのFAの目玉の1人になることが確実です。
そのジョン・レスターの2014年の成績、投球内容、球種、そして通算成績などをこのページではまとめています。
ジョン・レスターの2014年のシーズン成績と月別成績
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ジョン・レスターの2014年のシーズン成績と月別成績は以下のとおりとなっています。
レッドソックスとアスレチックスで合わせて32試合219イニングを投げて、防御率2.46/16勝11敗/奪三振220/WHIP1.10/被打率.236の成績を残しました。
レッドソックスの調子が良かったり、移籍後にアスレチックスが調子を落としていなければ20勝をしていてもおかしくはありませんでした。
特にアスレチックス移籍後の11試合では、6勝4敗と勝ち越しは2つにとどまりますが、11試合連続でクオリティスタートで防御率2.35/WHIP1.07と疲労の蓄積する時期にペースを上げています。
この移籍後にアスレチックスが急激に失速している中で、大きな歯止めとなっていたジョン・レスターです。
また2014年全体のクオリティスタート数27回はフェリックス・ヘルナンデスと並んでリーグトップ、クオリティスタート率は84%で単独リーグトップとなっています。
また他にも防御率と勝利数がリーグ4位、奪三振がリーグ5位、WHIPがリーグ7位となるなど、素晴らしい数字を残して2014年のレギュラーシーズンを終えることになりました。
続いて、ジョン・レスターの通算での成績は以下のとおりとなっています。
この防御率2.46は、これまでのキャリアベストである3.25を大きく上回る数字で、さらに自身初の防御率2点台です。
他には、投球回数、WHIP、K/BB(奪三振÷与四球)がキャリアベスト、被打率と奪三振数がキャリア3番目の数字となるなど、レスターのメジャー生活の中でもベストのシーズンの1つと言える結果を残しています。
レスターの通算成績の中で特に目を引くのが、2008年からの7年間は故障離脱することなく、先発ローテを毎年守り続け、平均で207イニングを投げていることです。
このレスターの安定感、故障への強さ、タフさは、先発ローテに柱、軸をつくりたいチームにとって、これ以上ない魅力となることは間違いありません。
そのため来年の1月で31歳となるジョン・レスターですが、大型の長期契約が予想されるこのオフの状況となっています。
ジョン・レスターの2014年の球種内訳と球速など投球スタイルについて
ジョン・レスターの球種は4シーム、シンカー、カーブ、チェンジアップ、カッター(カットボール)の5種類とされています。
それらの球種の投球に占める割合、三振に占める割合、被打率、球速などの詳細なスタッツは以下の表のとおりとなっています。
FA:4シーム SI:シンカー CU:カーブ CH:チェンジアップ FC:カッター(カットボール)
投球の中で割合が高いのが42.4%の4シームで、それに次ぐのが30.8%のカッター(カットボール)で、そこにカーブ(16.4%)が主な球種として加わり、投球の90%弱がこの3つの球種によるものとなっています。
そしてその3つに加えて、シンカー(7.8%)とチェンジアップ(2.6%)を織り交ぜるという構成になっています。
主要な3つの球種はいずれも三振を奪える質の高いボールで、奪三振のうち33.6%がカッター、30.9%が4シーム、30.5%がカーブによるものとなっています。
4シームの球速は最速が96.5マイル(155.3キロ)、平均で93.0マイル(149.7キロ)とMLB全体の中ではやや平均よりも速いとされています。
4シームはややフライになる傾向があるのですが、三振を奪えますし、被打率も.251と低くなっています、。
一般的に肘に対する負担が少ないとされる4シームを42.4%という割合で投げることができるのも、大きな故障がない理由の1つといえそうです。
カッターは最速が92.6マイル、平均で88.8マイルという球速で、4シームと大きな球速差がありません。その上、手元で変化するボールのため、打者が芯で捉えることが容易ではなく、打っても48.8%がゴロとなり、被打率も.236と低くなっています。
またもう一つの主要な球種であるカーブは曲がりが鋭く、球速も平均75.9マイル(122.1キロ)と4シーム、カッターとの球速差が30キロもあるため、緩急をつけるのに非常に有効です。
この3つの球種はどれも効果的なボールなのですが、その中でも強力な力を発揮しているのがカーブです。
被打率は.160と低く、田中将大のスプリットの被打率.157と遜色のない数字です。
また打者がレスターのカーブをスイングしても40.2%が空振りになり、30.7%がファウルとなるなど、ファアゾーンにもなかなか飛びません。
さらには、バットにあたっても52.2%がゴロになるなど、レスターのカーブは相手打線にとって大きな脅威となっています。
2014年8月7日の移籍後間もないツインズ戦で3安打の完封勝利をした時の動画が以下のものです。
決して力感のあるフォームではなく、力投しているようには見えないのですが、しっかりと球速が出ていますし、変化球の動きと制球も素晴らしいジョン・レスターです。
そのジョン・レスターは、ロイヤルズとのワイルドカードゲームに先発する予定ですが、過去のポストシーズンでも素晴らしい成績を残しています。
ポストシーズンでは13試合(先発11試合)76.2回を投げて、防御率2.11/6勝4j敗/WHIP1.04とレギュラーシーズンを大きく上回る実績があります。
このようにあ大舞台とプレッシャーのかかる試合に強いことは、ワールドシリーズ制覇を狙うチームが補強を考える上では、これ以上ない魅力の1つと言えます。アスレチックスの一員として、2014年のポストシーズンで活躍すれば、さらにレスターの評価が高まることは間違いありません。
ポストシーズンからシーズンオフにかけて、ジョン・レスターに関する噂や情報は多く飛び交うことになりそうです。