期待ハズレのまま終わりそうな「かつてのトッププロスペクト」たち

チームの主力を放出して、プロスペクトを多く獲得し、シーズンを大きく負け越すことで上位のドラフト指名権を獲得する「大規模なチーム再建」を選ぶチームが増えました。

この手法を用いたカンザスシティ・ロイヤルズ、シカゴ・カブス、ヒューストン・アストロズがワールドシリーズ制覇をおさめたことの影響があることは間違いありません。

今年は同様の方法でチーム再建を行ったアトランタ・ブレーブス、フィラデルフィア・フィリーズが次なる候補となる気配を見せていますが、その一方で、期待したとおりにはトッププロスペクトが育ちきらず、中途半端な状態になっているチームも存在します。

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期待はずれのままになりそうなトッププロスペクトたち

残念ながらメジャーリーグ全体でトップクラスの評価を得ながら才能を開花させきることができず、期待されたようなスタープレイヤーになれない可能性が高まりつつある選手がいます。

ESPNのデビッド・ショーンフィールド氏が”10 hyped players who are running out of time to become stars”と題して、かつてのトッププロスペクトでありながら、スタープレイヤーとしての階段をのぼることができなさそうな10名の選手をリストアップしています。

その10名とは以下のとおりとなっています。


  • ルーカス・ジオリト(投手・ホワイトソックス)
  • バイロン・バクストン(外野手・ツインズ)
  • ミゲル・サノー(三塁手・ツインズ)
  • タイラー・グラスノー(投手・パイレーツ)
  • オースティン・ヘッジス(捕手・パドレス)
  • ブレイク・スワイハート(捕手/外野手・レッドソックス)
  • ジュリクソン・プロファー(遊撃手・レンジャーズ)
  • ザック・ウィーラー(投手・メッツ)
  • アディソン・ラッセル(遊撃手・カブス)
  • ケビン・ゴーズマン(投手・オリオールズ)

ルーカス・ジオリトは2016年開幕前のプロスペクトランキングでMLB公式サイト、ベースボール・プロスペクタスが全体3位にランクするほどの評価を得ていました。

マイナーでの成績は良いのですが、メジャーでは与四球率(9イニングあたりの平均与四球)が6.1、10個の死球と制球難で、今季は55イニングで防御率7.53と低迷しています。特に左打者に弱く(被OPS.958)、その原因はカーブとチェンジアップがメジャーで通用するレベルに達していないからだとショーンフィールド氏は述べています。

バイロン・バクストンは2014年開幕前にすべての媒体がMLB全体でNO.1の評価を受けるほどのトッププロスペクトの中のトッププロスペクトでした。
2016年の9月に9本塁打、2017年の後半に打率.300/出塁率.347/長打率.546とブレイクアウトの気配を感じさせることがありましたが、今季は打率.156/出塁率.183/長打率.200、本塁打0と苦しんでいます。
ボール球に手を出してしまう悪癖が治らず、メジャーでの通算出塁率は.285にとどまります。外野の守備は素晴らしいものの、打撃面での課題が大きく影を落としているとショーンフィールド氏は述べています。

ミゲル・サノーの今季は打率.212/出塁率.282/長打率.449、本塁打7。2014年シーズン開幕前にMLB公式サイトが全体4位にランクした選手で、バイロン・バクストンとともに再建途上のツインズの柱となる期待が寄せられていました。
長打力のある打撃が魅力なのですが、粗い打撃が足かせになっているとショーンフィールド氏は指摘します。元々、三振率が35-36%と高かったのですが、今季は40%に達するなど完全な危険水域に入っていて、現在のペースのままであれば150試合で269個の三振に達する状態です。

タイラー・グラスノーは3Aでは圧倒的な存在で、この3年で245イニングを投げて防御率1.95、奪三振321、被安打155という数字を残しています。ただ、与四球を115個も与えるなど制球面に課題があり、これがメジャーでのキャリアを難しくしているとショーンフィールド氏は分析しています。3Aでは圧倒的ですが、メジャーでは2017年が防御率7.69、今季は4.35となっています。
パイレーツの構想はゲリット・コール、ジェイムソン・タイヨン、タイラー・グラスノーの3人を並べるローテでしたが実らず、グラスノーはブルペンに配置転換されています。ただ、リリーフでは平均球速が96.3マイルに上昇しているため、リリーフとして花咲く可能性があるとショーンフィールド氏は付け加えています。

オースティン・ヘッジスはパドレス再建の扇の要として期待されたのですが、今季は打率.173/出塁率.235/長打率.293、2本塁打と低迷しています。18本塁打を記録した2017年も打率.214、出塁率.262という数字で、「ナ・リーグのマイク・ズニーノ(マリナーズ)」のようだショーンフィールド氏は述べています。
パドレスのチーム再建が遅れているのはこのヘッジス、マニュアル・マーゴット、ハンター・レンフロー、コーリー・スパンジェンバーグらが期待はずれに終わっているためで、次のプロスペクトたちの昇格に期待をかける必要がある状態です。

ブレイク・スワイハートは2011年ドラフトの1巡目全体26番目で指名され、2015年シーズン開幕前にはベースボール・アメリカとベースボール・プロスペクタスがともに17位、MLB公式サイトが18位にランクするなど正捕手として期待されていました。
2015年のメジャーデビューでは結果を残したものの、その後に故障が続き、クリスチャン・バスケスが台頭がしてきたため、居場所を失ってしまいました。外野手としてもプレーができますが、レッドソックスはすべてのポジションが埋まっているため、こちらでも空きがなく、ユーティリティのベンチ要員としてのみ起用される状態です。今季は打率.157/出塁率.232/長打率.176と低迷しています。

ジュリクソン・プロファーは2013年シーズン開幕前には主要3媒体すべてNO.1にランクするトップ中のトップ評価を得ていたプロスペクトでした。ただ、2013年のメジャーデビュー後の成績85試合で打率.234/出塁率.308/長打率.336にとどまり、その後は肩の故障に悩まされてしまいます。
今季はエルビス・アンドラスの離脱でチャンスが与えられていますが、フライボール比率が21.8%、打球の平均初速が86.2マイルという数字が示すとおり、長距離打者タイプではないとショーンフィールド氏は指摘しています。

ザック・ウィーラーはメッツが黄金時代を迎える時に先発ローテの一角となることが期待されていた投手の一人ですが、2015年にトミー・ジョン手術、2016年も故障で長期離脱と宙に浮いてしまいました。2017年は17試合に先発して防御率5.21にとどまるだけでなくDLに2度も入り、今季も56回で防御率5.14と期待はずれな成績にとどまっています。
ウィーラーは2013年に185回1/3で防御率3.54、奪三振187という数字を残しているのですが、投手有利の本拠地で、投手が極端に有利なシーズンだったことを考えると、そうでもないのが現実で、WAR(Win Above Relacement: 同じポジションの代替可能な選手に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか)は0.9にとどまっていたとショーンフィールド氏は指摘しています。

アディソン・ラッセルに関しては2015年昇格から現在までの通算WARが11.5と高く、この期間において野手としては50位にランクされています。また守備に関してもゴールドグラブ賞クラスと素晴らしいのですが、打撃面の課題のゆえにリストに加えたとショーンフィールド氏は述べています。
マイナー時代は守備よりも打撃への評価が高く、メジャーでもルーキーイヤーに13本塁打、2016年に21本塁打を記録するなどしました。ただ今季は打率.272/出塁率.347/長打率.348と四球を選べるようになった一方で、本塁打は2本にとどまるなど、長打力が失われている状態です。
このままではフランシスコ・リンドーア、カルロス・コレア、コーリー・シーガーらに劣る存在にとどまり「スター」にまではなれないとショーンフィールド氏はリストに名前を加えています。

ケビン・ゴーズマンは2016年にWARが4.1、昨季が2.0、今季もここまで1.1と悪いものではありません。ただ、持っているポテンシャルを十分に活かしきった状態ではないということを理由にショーンフィールド氏はリストに名前を加えています。
ゴーズマンはファーストボール、スプリット、スライダーの3つが持ち球で、スプリットが強力な球種であることショーンフィールド氏は評価する一方で、投球に占める割合が高いファーストボールが.364/.415/.599と打ち込まれていることが足かせとなっていると指摘します。
このままではアディソン・ラッセルと同様にメジャーリーガーとしてそれなりの金額を手にするプレイヤーにはなれるが、エースになるのは難しいかもしれないというのがショーンフィールド氏の見立てです。

トレード交渉が活発化する時に「すべてのトッププロスペクトがマイク・トラウトのようになるわけではない。だから、ワールドシリーズ制覇のために今すぐに貢献できるインパクトのある選手を獲得すべきだ」との声が上がることがあります。

レンジャーズはジュリクソン・プロファーにこだわってチームに残し続けましたが、十分にその才能を引き出すことができていません。

カブスはショートにアディソン・ラッセル、セカンドにハビアー・バエズがいることで、ポジションがないと判断したグレイバー・トーレスを、アロルディス・チャップマンの4ヶ月を買い取るために放出しました。
このことでワールドシリーズ制覇を果たしているため失敗ではないのですが、ミドルインフィルダーとしては、ラッセルよりもトーレスのほうがスターになる可能性が出てきています。
グレイバー・トーレスは2018年開幕前に主要媒体でトップ5にランクされ、メジャーデビュー後の38試合で打率.298/出塁率.359/長打率.565/OPS.924、10本塁打と活躍しています。ただ、守備面では課題が目につく状態ではあります。

トレードでプロスペクトを放出することにもリスクがありますが、プロスペクトを放出するのためらって十分な戦力補強を行わずに、ワールドシリーズ制覇のチャンスを逃すことにもリスクがあります。

どれだけデータやスカウティングを駆使したとして、博打的な要素を完全になくすことができないのが、トレード、FAなどの戦力補強なのかもしれません。

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