上原浩治の平均球速141キロのファーストボールがなぜメジャーでも通用するのか?その理由をスタットキャスト(Statcast)で探る

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上原浩治は4月3日で41歳となり、2016年6月14日終了終了時点での防御率4.01は不本意な数字ではあるものの、24回2/3で奪三振数は34個と高い奪三振率を記録しています。

現在の上原浩治の奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は12.41で、20イニング以上を投げているメジャーの投手の中で17番目に高い数字となるなど、その三振を奪う能力の高さは健在です。

上原浩治の代名詞と言えばスプリットなのですが、今季は投球の46.58%を占め被打率.205と、キャリア平均の.170よりは悪い数字となっています。

その一方で、ファーストボールは投球の46.84%とスプリットと変わらない割合で投げているのですが、その被打率は.150とスプリットよりも良い数字ですし、フォーシームとしてはかなり優秀な数字となっています。

しかし、上原浩治のファーストボールの平均球速は87.48マイル(140.7キロ)とメジャー全体の平均球速92.78マイル(149.3キロ)を大きく下回っていますし、日本プロ野球(NPB)でも速い方ではありません。

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球速が遅い上原浩治のファーストボールが強力な理由は?

メジャーの平均球速を大きく下回るのみならず、日本でも速い方とは言えない上原浩治のファーストボールが通用しているのは、非常に興味深いものがあります。

その理由として考えられる一つが、上原浩治がスプリットとフォーシームファーストボールを同じフォームで投げ分けることができるということです。

打者が投球フォームなどからスプリットとフォーシームを判断しにくいため、相乗効果でファーストボールが有効になっているという面があります。

しかし、上原浩治のフォーシームファーストボールが有効なのは、それだけにととまらず、そのボールの質そのものが良いということを見過ごすことはできません。

現在、メジャーリーグではボールをトラッキングすることによるStatcast(スタットキャスト)により、かなり詳細なデータがとられています。

そのデータに基づいてMLB Networkが上原浩治のフォーシームについてコメントしている動画があります。それは以下のものです。残念ながら英語のみです。1分20秒あたりから上原について見ることができます。

投げるボールのスピン量が多い投手としてエンゼルスのギャレット・リチャーズと上原浩治が紹介されています。

ギャレット・リチャーズはツーシーム、カッター、スライダーの回転数が多く、ファーストボールとの見分けがつきにくくなっているようです。

この動画では上原浩治が88マイル(141.6キロ)、87マイル(140.0キロ)のファーストボールで空振りの三振を奪っているシーンが紹介されています。

では、なぜこの球速で空振りを奪えるのかということになるのですが、そのフォーシームファーストボールのスピン量は1分あたり2460回転でメジャーでもトップクラスであり、スピン量が非常に多いことがその理由だと分析されています。

それではスピン量が多いとなぜ良いのでしょうか?

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スピン量が多いとなぜ良いのか?

フォーシームを投げると基本的にバックスピンでの回転が加わるのですが、これは重力に逆らって浮上する回転となります。

硬球だとやや感じがつかめませんが、バレーボール、ビーチボールなどをフォーシームと同じ回転で投げると、ボールが浮き上がるのですが、これを体験したことがある方には、実感できることではないかと思います。

スピン量が多いということは重力に負けてボールが落ちてしまうのではなく、リリースした時の高さ、軌道をより維持できることになります。

上原浩治のフォーシームファーストボールは他の投手よりも回転数が多いためボールが重力に負けて落ちにくく、結果として打者が普段見ている他の投手のフォーシームの軌道よりも、浮き上がるように見えるし、伸びがあるように感じるということです。

先の動画は2015年5月の時点のものなので、上原浩治の2015年のスタッツで、上原浩治のフォーシームがどれだけ効果的で、強力であるかを見て行きたいと思います。

2015年の上原浩治はフォーシームが投球の38.69%を占め、平均球速は88.12(141.8キロ)となっています。

その被打率は.161で、スプリットの被打率.189を上回っていますし、奪三振の決め球となった割合もフォーシームが47.83%、スプリットが52.17%と遜色ありません。

空振り率に関してはスプリットの43.56%には及ばないものの、フォーシームとしては非常に高い32.77%となっています。

メジャーの平均球速NO.1は105.1マイル(約169.1キロ)のメジャー最速記録を持つアロルディス・チャップマンで、2015年の平均球速は100.43マイル(161.6キロ)を記録し、被打率は.184、空振り率は41.03%となっています。

フォーシームの空振り率ではチャップマンに劣るものの、被打率に関しては上原浩治が上回っています。

球速に関しては大きく劣るのですが、打者が攻略する上での手強さという点では遜色がないと言える上原浩治のフォーシームファーストボールです。

この140キロ前後の上原浩治のフォーシームがメジャーでも優秀な部類にランクされるほど強力なのは、キレと伸びを生み出しているスピン量の多さが大きな要因の一つと言えそうです。

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